グローバル化、構造改革の名の下に、所得格差、資産格差、地域格差が拡大し、地域経済を取り巻く環境は一段と厳しくなっています。その影響は第一次、二次、三次産業までの各分野に広く表れ、企業倒産やリストラによる失業の増大、各層の収入の減少がつづいています。又、急速に進む高齢化社会の中でも医療、福祉など、生活に最低限必要なものを手に入れる権利さえ奪われている層も増えています。その様な中、介護、福祉の充実、第一次産業の再生を中心とするあらゆる分野での仕事おこし、地域経済の活性化は急務な課題になっています。正に地域は歴史的に形成された共通の生産、生活文化を土台に人々のくらしが営まれており、ここに生きて行くための人間性ゆたかな施設が求められているのです。
私たちはその問題解決の為に、国や自治体に対して大きな運動を展開していかなければなりませんが、同時に自分たちも解決者として多くの地域の皆さんと共同して立ち向かっていかなければならないと思います。その為に異業種の壁を乗り越えて、民主的な共同の事業を行い、個別の事業者だけでは実現しきれない諸要求を協力、共同することによって解決を図ることが早急に必要になっていると判断に立ち、ここに「事業協同組合」を設立する事にしました。
当面私達は、高齢者が安心してくらせるケア付の高齢者住宅の建設とその運営、デイサービス、給食配食、送迎、メンテナンスの事業をスタートさせますが、この様な施設建設や仕事おこしは住民の皆さんの要求を直接的に解決すると共に、地域での雇用を拡大し、農業をはじめ第一次産業、食品加工による第二次産業、地域商工業への波及的効果も期待され、地域経済の活性化にも貴重な貢献になると確信しています。
又、地域での人口の減少、少子高齢化、地域格差の拡大の中での地域経済の衰退という現実は日本全体が10~15年後平均的に起こりうる現象であり、世界一の長寿国である日本の取り組みは世界の先進的実験と考える必要があると思います。
「高齢化社会の中での豊かな生活文化」の創造は、人類の歴史的仕事だと自負しても過言ではないと思っています。そしてその担い手として「協同組合」の思想、運営原則はその課題達成の為に大きな可能性を持ったものだと確信します。
私達は協同組合の原則と相互扶助の精神に則り、事業体として自主的経済活動を発展させ、いつでも安心して住み続けられるまち(地域)づくりの為に力を尽くします。